よくある質問 I FAQ

法律問題の
ご質問とアドバイス

以下の問題について、ご質問とアドバイスです。
カテゴリー別での表示の切り替えができます。
ボタンの上でクリックしてください。

相続問題について

Q

被相続人の生前・死後に他の相続人等によって預金から引き落とされたお金は遺産分割の対象にできませんか。

A

遺産分割は現に存在する遺産を対象とするのが原則です。もっとも、死亡後に引き落とされたお金については、引き落とした相続人以外の相続人全員又は相続人全員の同意があれば、引き落とされたお金も預金として存在するものと扱って遺産分割することは可能です。

遺産分割は現に存在する遺産を対象するのが原則です。
そのため、生前・死後に預金から引き落とされたお金がある場合にも、引き落とした人に対して法定相続分に応じた割合で金銭請求(不当利得返還請求又は損害賠償請求)はできても、遺産分割の対象とならないのが原則です。そのため、法的には遺産分割とは別個の手続をしないといけません。

もっとも、このような場合だと、不公平な結果になることも時に生じます。
たとえば、遺産が3000万円で、相続人がA及びBの子ども2人の場合で、Aは生前に被相続人から3000万円以上の贈与を受けていたような場合だと、特別受益があるため、遺産分割で取得できるのは0円になります。この場合でも、Aが死後に3000万円まるごと出金した場合には、BからAへの金銭請求では法定相続分での請求になるため、Bは1500万円しか請求が認められません。
このような不均衡が生じ得ることから、2018年の法改正で、(1)共同相続人全員又は(2)処分をした相続人を除いた相続人全員の同意により、死後に処分された財産を存在するものとみなして遺産分割ができることになりました(民法906条の2)。
そのため、上記のようなケースで、Bは遺産分割で3000万円を取得できることになります。

ただし、これはあくまで死後に処分された遺産があった場合のことなので、生前の出金については、金銭請求によるしかありません。