よくある質問 I FAQ

法律問題の
ご質問とアドバイス

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離婚問題について

Q

法改正で、離婚後も原則として共同親権になるのですか。

A

原則であると明記はされていませんが、条文の表現や法改正の背景からすれば、原則として運用される可能性もある一方で、共同親権になるのは例外的となる可能性もあります。

新法でも法改正過程の政府答弁でも、離婚後の親権者指定として共同親権が原則であるとされたことはありません。
もっとも、改正法の表現としては、離婚後又は離婚に伴い裁判所が親権者を定める場合の判断基準として以下のように定められています(新民法819条7項)。
「裁判所は、……父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならない。この場合において、次の各号のいずれかに該当するときその他の父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない。
一 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。
二 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動……を受けるおそれの有無、……協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。」
これは、条文の表現だけ読めば、あくまで「父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき」又は「父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき」には共同親権にしない、と定めているだけで、それ以外の場合に共同親権とするか単独親権とするか、その判断基準はどうなるかは何も定めていない状態です。
もっとも、単独親権とするのはこの2つの場合に限定されるかの表現でもあり、原則として共同親権であるかのようにも読み取れます。また、法改正は離婚後共同親権を求める要求に応じたものであるという背景からすれば、その背景に影響された運用になることも考えられます。
他方では、当事者双方が合意しているような場合にしか共同親権にはならないという運用も制度上は可能です。
最終的には今後の運用に丸投げされたと言え、しばらくは裁判所によって判断がまちまちな状態が続いたり、あるいは、極端な運用がなされた後に軌道修正されると言った混乱が生じることも考えられます。

*記事掲載時(2024年5月31日)で把握できている情報に基づく内容であり、その後の動向で記事内容が不適当になっていることがあり得ます。
*法改正に賛成・反対の立場から記事を掲載するものではなく、なるべく客観的に法改正の内容及びその影響として予測される事項を説明する趣旨です。ただし、判例・法令で明確になっていない事項も多いため、今後の推移を見ないと判断しづらい事項も多々あります。