よくある質問 I FAQ

法律問題の
ご質問とアドバイス

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離婚問題について

Q

一旦合意した婚姻費用/養育費が変更される場合は、変更後の金額は算定表に基づいて計算されますか

A

元々の婚姻費用/養育費が算定表より高く/安く定められている場合、その格差が維持されることもあります。

当事者で婚姻費用・養育費を算定表より高く/安く合意する取り決めも有効なので、事情変動により変更が認められても、「算定表より高く/安くする」という元の取り決めの効力まで失われる理由はありません。
裁判例でも、事情変動により減額が認められた場合も、算定表より高く定めたことの効力は引き継がれています。
〇 札幌高裁2018年1月30日決定
公正証書で取り決められた養育費について、義務者が再婚し再婚相手との間に子どもができたことを理由に減額を求めた事件。
公正証書作成当時の収入を元にすれば取り決めらされた養育費は算定表より2万4718円高かったという事実関係で、裁判所は「当事者双方が同合意に際し、標準的算定方式による試算をしたことを認めるに足りる資料はないが、上記のとおり、客観的に見て標準的算定方式による試算額を大きく上回る養育費の合意をしていることからすると、同合意における当事者の意思としては、標準算定方式による試算額を上回る場合であっても、その試算額に差額分(本件では2万4718円)を加算する趣旨であったと解するのが合理的である」と判断し、事情変動後の収入等で計算した算定表に基づく養育費相当額に、上記加算額を再婚相手との子どもと按分して加算して変更後の養育費額を定めた。
〇 東京高裁2016年7月8日決定
公正証書で取り決められた養育費について、義務者が再婚し再婚相手との間に子どもができたことを理由に減額を求めた事件。
公正証書作成当時の収入を元にすれば取り決めらされた養育費は算定表より5万5000円高かったという事実関係で、裁判所は「本件公正証書における養育費の合意額は客観的に見て標準算定方式により算定される額に月額5万5000円を加えた額であったことを認めることができ,現在における養育費の額の算定においてもこの合意の趣旨を反映させるべきである」と判断し、事情変動後の収入等で計算した算定表に基づく養育費相当額に、上記加算額を再婚相手との子どもと按分して加算して変更後の養育費額を定めた。