よくある質問 I FAQ

法律問題の
ご質問とアドバイス

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離婚問題について

Q

子どもが15歳になった場合や、定年退職で減収になった場合はあらかじめ予見できた事情ですが、婚姻費用/養育費の増額・減額理由になりますか

A

原則として認められると考えられます。あらかじめ予見できたといっても、元の合意を維持するのが不相当になったのが明らかだからです。

「一旦決まった婚姻費用・養育費の変更は認められますか。」で述べたように婚姻費用・養育費の増減理由には「その事情変更を当事者が予見できなかったこと」も要件であると言われます。
もっとも、その要件を機械的にあてはめれば子どもが15歳になったとか定年退職による収入減はあらかじめ予見できたと言えなくもありません。しかし、そのような理由で増額・減額を認めると客観的事実に照らして婚姻費用/養育費額が不相当になった場合まで変更が認められなくなります。そのため、裁判例でも、「予見できたかどうか」は必ずしも重視されず増減理由と認められています。その意味で「予見できたかどうか」は必ずしも必須の要件とは言えず、事情変更があっても変更すべきでない場合に増減を否定するための理由とされている面があるようにも見受けられます。

〇 東京高裁2021年3月5日決定
子どもが11歳の時点で調停で決められた養育費について、15歳になってから増額を申し立てたケース。裁判所は、「当事者双方において子が15歳に達した後も養育費を増額させないことを前提として養育費の金額について合意した等の特段の事情が認められない限り,子が15歳に達したことは原則として養育費を増額すべき事情の変更に該当する」と判断し、増額を認めた。
〇 東京高裁2019年12月19日決定
2018年3月に調停で定めた婚姻費用について、義務者が同年6月に勤務していた会社の役員を退任し、2019年3月末で退職したことを婚姻費用減額理由と認め、年金収入を元にした婚姻費用額に変更した。