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婚姻費用・養育費を決める「算定表」は、どのような計算で作成されているのですか
双方の総収入から、標準的な割合に基づき「基礎収入」を算出し、これを、配偶者や子どもの生活費指数に応じて振り分けた結果です
計算の簡易さのため、双方の総収入(手取りではない額面の収入)から、税金等を控除した「基礎収入」を算出し、これを年齢等に応じて必要となる度合いに差を付けて振り分けた結果に適合するように支払額を決めるというものです。
具体的には、
(1) 総収入から、統計に基づく標準的な公租公課(税金、社会保険料)・職業費・特別経費を控除した「基礎収入」を算出する。
(2) 基礎収入を、親を「100」、0~14歳の子を「62」、15~19歳の子を「85」とする生活費指数で、権利者側の生活費を定める。
(3) その結果に基づいて、義務者が権利者に支払う額を決める。
というものです。
<基礎収入割合>
計算に用いる基礎収入の割合は以下の通りとされています(司法研修所編『養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究』35頁)。
給与所得者の場合
年収(万円) | 割合(%) |
0~75 | 54 |
~100 | 50 |
~125 | 46 |
~175 | 44 |
~275 | 43 |
~525 | 42 |
~725 | 41 |
~1325 | 40 |
~1475 | 39 |
~2000 | 38 |
自営業者の場合
年収(万円) | 割合(%) |
0~66 | 61 |
~82 | 60 |
~98 | 59 |
~256 | 58 |
~349 | 57 |
~392 | 56 |
~496 | 55 |
~563 | 54 |
~784 | 53 |
~942 | 52 |
~1046 | 51 |
~1179 | 50 |
~1482 | 49 |
~1567 | 48 |
<養育費の計算式>
(1) 義務者・権利者の基礎収入の算出
(2) 子どもの生活費(年額)の算出
子どもの生活費=義務者の基礎収入×子の指数/(義務者の指数+子の指数)の算出
(3) 義務者の分担額(年額)の算出
義務者の分担額=子の生活費×義務者の基礎収入/(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)
(計算例:以下のケースの養育費)
父親の給与収入 800万円
母親の給与収入 200万円
母親が監護する15歳未満の子ども1人
(1) 基礎収入を算出
義務者の基礎収入=800万円×0.4=320万円
権利者の基礎収入=200万円×0.43=86万円
(2) 子どもの生活費(年額)の算出
320万円×62/(100+62)≒122.47万円
(3) 義務者の分担額(年額)の算出
122.47万円×320/(320+86)≒96.53万円(年額)
→月額約8万円
<婚姻費用の計算式>
(1) 義務者・権利者の基礎収入の算出
(2) 権利者世帯の生活費(年額)の算出
権利者世帯の生活費=(権利者・義務者の基礎収入合計)×権利者世帯の指数合計/(義務者の指数+権利者世帯の指数合計)の算出
(3) 義務者の分担額(年額)の算出
権利者世帯の生活費-権利者の基礎収入
(計算例:以下のケースの婚姻費用)
夫の給与収入 800万円
妻の給与収入 200万円
妻が監護する15歳未満の子ども1人
(1) 基礎収入を算出
義務者の基礎収入=800万円×0.4=320万円
権利者の基礎収入=200万円×0.43=86万円
(2) 双方の基礎収入から権利者世帯に割り当てられるべき生活費を算出
(320万円+86万円)×(100+62)/(100+100+62)≒251.04万円
(3) 義務者の分担額を算出
251.04万円-86万円=165.04万円(年額)
→月額約13.75万円