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離婚に伴う慰謝料請求は、どういう場合に認められますか
不貞や暴力が典型的な理由ですが、それ以外にも配偶者の違法な行為で婚姻関係が破綻した場合には認められることがあります
離婚に至る過程や離婚の結果によって種々の精神的苦痛を被ることはありますが、離婚になったからと言って当然に慰謝料請求が認められることにはなりません。
判決で慰謝料請求が認められるためには、配偶者の有責行為で婚姻関係が破綻に至ったと評価されなければなりません。
たとえば、東京家裁の2012年4月~2013年12月までの離婚事件の判決のうち、一方又は双方から慰謝料請求がなされたもので欠席判決等を除外した203件のうち、慰謝料請求の理由として主張されたものの分類及び結果等は以下のとおりとなっています(神野泰一「離婚訴訟における離婚慰謝料の動向」ケース研究322号(2014年))。
主な慰謝料理由 | 件数 | 認容件数 | 認容率(%) | 平均認容額(万円) |
不貞 | 44 | 29 | 66 | 223 |
暴力 | 44 | 23 | 52 | 123 |
粗暴な言動 | 17 | 4 | 24 | 100 |
精神的圧迫 | 62 | 7 | 11 | 93 |
悪意の遺棄 | 12 | 1 | 8 | 200 |
経済的事情 | 15 | 7 | 47 | 100 |
子との交流阻害 | 2 | 2 | 100 | 30 |
犯罪行為 | 2 | 2 | 100 | 75 |
性的不調和 | 5 | 0 | 0 | 0 |
これだけでは全体的な傾向を判断することは困難ですが、実際の業務をしている実感も踏まえていうなら、
・不貞と暴力(DV)が慰謝料理由の中心
・「粗暴な言動」「精神的圧迫」(いわゆる「言葉の暴力」「モラハラ」など)が主張されることは多いが、単なる性格の不一致・夫婦の不仲に過ぎないケースや立証に困難を伴うケースが少なくないので、慰謝料請求が認められる例は比較的少ないし、認められても大きな額にならない
という傾向はうかがわれます。