よくある質問 I FAQ

法律問題の
ご質問とアドバイス

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労働問題について

Q

健康保険・厚生年金保険の加入対象なのに、過去10年以上加入してもらえず、自分で保険料を支払っていました。会社に何か請求できませんか。

A

加入していれば保険料の半分を雇用主が負担することで、もっと安く済んだ自己負担分の損失を損害賠償請求できます。年金受給年齢に達した後であれば、受け取る年金が少なくなった分の賠償請求が認められる余地もあります。

1 自分で社会保険料を負担していたことによる賠償請求
本来、社会保険に加入している場合は、雇用主が保険料の半分を負担します(健康保険法161条、厚生年金法82条)。
これに対して、国民健康保険・国民年金の場合は、全額自己負担となります。
そこで、本来事業者に半分は負担してもらえたのに全て自分で負担したということになり、納付した保険料の半分の賠償請求が認められた例もあります。(名古屋高裁2017年5月18日判決、津地裁2019年4月12日判決)。
2 年金給付の減少を理由とする賠償請求
きちんと事業主が社会保険に加入していないと、厚生年金保険料を納めていないので、将来支払われる年金(老齢厚生年金)が減少することになります。
その分をあらかじめ請求したケースでは、将来の受給が不確定であることなどを理由に概ね請求は認められていません。
他方で、年金受給年齢になった後で請求した例では、請求が認められているものもあります。

当事務所の弁護士が扱った例として、名古屋高裁2020年5月20日判決では、1999年4月から2007年3月まで厚生年金に加入していなった労働者が、65歳になって退職してから損害賠償請求したのを認めています。