よくある質問 I FAQ

法律問題の
ご質問とアドバイス

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労働問題について

Q

会社を退職しようと考えて、2週間後に退職するという退職届を提出したら、「就業規則で退職の1か月前までに提出しないといけない」と言われました。従わないといけませんか。

A

法律上は退職の通知をしてから2週間で退職でき、就業規則等でこれを延長しても無効だと考えられています。

法律上、期間の定めのない雇用契約であれば、2週間前に通知することで退職できることになっています(民法627条1項)。
ここで「2週間」というのは通知をした翌日からカウントするので、たとえば、2月1日に通知した場合は、2月15日が経過することで退職したことになります。

この民法627条1項の定めについては、就業規則や雇用契約書で異なる定めをしても無効となる「強行法規」という考えが多数です。
問題となったケースは少ないですが、裁判例でも従業員からの退職を法律よりも拘束する就業規則等は無効だと判断されています。

〇 福岡高裁2016年10月14日判決
民法627条1項の定めを強行法規だと判断した。
〇 大阪高裁1984年7月25日判決
2017年の法改正前の民法627条2項では、「期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以降についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半についてしなければならない。」と定められていた。
この民法627条2項の規定について、「解約予告期間経過後においてもなお解約の申入の効力発生を使用者の承認にかからしめる特約とするならば、もしこれを許容するときは、使用者の承認あるまで労働者は退職しえないことになり、労働者の解約の自由を制約することになるから、かかる趣旨の特約としては無効と解するのが相当である」と判断した。
直接的には民法627条1項についての判断ではないが、民法627条に基づく労働者からの退職を制約する就業規則を無効と判断した裁判例ではある。